ビブラートをかけたいけれど、その練習方法が分からない人も多い。
よく「ビブラートは上級者向けのテクニック」と聞くが大間違いだ。
ビブラートは初心者向けのテクニックである。
ただし、ビブラートを癖なく自由自在に使いこなせるためには基礎が出来ていないと難しい。
基礎さえできていればどんなビブラートも使いこなせる。
アニソンのように派手に大きくかけられるし、ポップスのようにゆったりかけてもいい。
演歌のように激しくかける事だって可能だ。
今回はその第一歩の練習方法について話していこう。
1.息を一定量吐き出す
まず気を付けたいのが、歌っている時の息の量のコントロールが出来ているかどうか。
ビブラートは息と声の「揺れ」なのだが、正しい息の量と発声をしていれば自然にかかるものである。
つまり、ビブラートがかかっていない時はどちらかが正しくないということ。
まずは取っかかりやすい「息の流れ」をチェックして欲しい。
<練習チェック>
10秒間一定の息の量で「スー」とSの子音の音で伸ばす。
この時、腹式呼吸を意識できないと伸ばし切れないのでしっかりと呼吸しよう
息が途中で詰まったり、ぶつぶつ切れずにすーっと伸びていればOK。
録音して自分はどうかチェックしてみよう。
因みに最後まで息を使い切れていたらもっと良い。
息を使い切らないで歌い続けて最後に声が潰れたようになる人は息の吐き方に注意しよう。
2.伸ばしている最中に口の形を変えない
次のステップは「口の形」だ。
自分が歌っている時の口の形や開け方、どれだけの人が気を付けられているだろうか。
自分の歌っている声を聴くのも好きじゃないのに、自分が歌っている姿なんて見たくない・・・そんな方もいるかもしれないが、それでは歌は上達しない。
まっすぐロングトーンが伸ばせていない時、途中で口の形が閉じていく人が多いのだ。
出だしはいい声なのに段々喉を締めたような声になる人は大体口が閉じていく。
開けて!!
一回開けたら開けっ放しにして!!
特に発声練習でロングトーンの練習している時は閉じないで!!!
(逆に開けすぎてしまう人は閉じるけれど途中で閉じるのではなく最初から閉じてキープ)
口の形は声の出方にダイレクトに関係してくる。
ロングトーンの時は特に注意しよう。
3.伸ばしている最中に舌の位置を変えない
次は舌の位置。
こちらも口の形が変わるように、同じ声の高さを伸ばしていると舌根(舌の付け根)が上がりやすい。
舌根があがると、結果喉が締まる。
歌にとって何もいい事がない。
そのためには舌の位置にも気を付ける事。
できれば鏡で口の中を見ながら歌うとベストだ。舌の位置も、口の開け方キープも見やすい。
あまり「ここから動くな!」と考えてしまうと舌が緊張して余計力が入る。
「どうしたら舌根があがらずに済むかな?」と考えながら舌の力を入れる位置を試行錯誤してやってみるといい。
4.歌を終わらせるのは声と息同時かどうか
ロングトーンの伸ばし終わりを息の終わりではなく声の終わりを持ってくる人がいる。
結果、最後の声が濁点のついたような潰れた声で終わる。
最後まで声に力が入りすぎている証拠だ。
息の終わりが声の終わりと同時になる(または息の終わりが後にくる)ようにすると声はクリアなまま終わらせることができる。
溜息をつくイメージだ。
ただし、溜息だと語尾にフォール(音をずり下げるテクニック)が入ってしまうので、音程が下がる前に声だけ終わらせる。
録音して自分はどうかチェックしてみよう。
この練習は動画や文章では伝わりにくいのでボイトレの先生に相談する事をお勧めする。
結構悩んでいる人は多い。
5.ビブラートは息と声の「揺れ」である
最初にも伝えた通りビブラートは息と声の「揺れ」だ。
ロングトーンで息と声をまっすぐ伸ばせるようになると簡単に付けられる。
私のレッスンでもこの基礎が身についた人は一回のレッスンでコツを掴めている。
逆に基礎である息と声を真っ直ぐ伸ばすことが出来ていない人ほどビブラートが付けられない。
「揺らす」応用も大事だが、応用が出来ないのであれば基礎を確実に詰もう。
それだけで人生かかってできなかったことがあっという間にできるようになる。
最後に
ビブラートは初心者向けのテクニックではあるが、それは歌のテクニックで基礎を固めてしまえば一番使いやすいテクニックだからだ。
他にカラオケ用語で出てくる「しゃくり」「フォール」「こぶし」などのテクニックは自分の意志で使おうと思うと結構難しいが、ビブラートは使いどころも分かりやすい。
しかも声の基礎が出来ていないとできないテクニックなので声もよくなるし、声が揺れる事によって心地よい抑揚も生まれやすくなる。
発声練習的にも一番最初に取得したいテクニックがビブラートだ。
そのために一番地味な練習になるが、ロングトーンを真っ直ぐ伸ばす(ストレートボイスで歌う)事が何よりの近道になる。
ぜひチャレンジしていい声になって欲しい。
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