ボイトレに通うと本当に歌がうまくなる？

ボイストレーニングに通ったら歌が上手になる、そんな言葉に踊らされていないだろうか？
この話題、実は結論から言うと半分正解で、半分不正解。

理由は以下の3点だ。
1.ボイストレーニングは発声を整える練習
2.歌の基礎力である音感とリズム感も必要
3.歌で使うテクニックを学ぶのはボーカルトレーニング

どういう事？？全部「ボイトレ」じゃないの？と混乱するあなたへ一つずつ解説していこう。

1.ボイストレーニングは発声を整える練習

歌に関する事を調べた人なら必ず聞いた事がある「腹式呼吸」「発声法」「共鳴」などの話しはすべてボイストレーニングだ。
喉や体、息の使い方などの調子を整え良い声を出す為の訓練なのだが、これはあくまで「良い声の出し方」（または出したい声の出し方）の訓練であり曲の歌い方ではない。

勿論曲を歌う時に正しい声の出し方をしていないと声がひっくり返ったり、出したい声が出なかったりするので、上手に歌う為にも発声を整えるのは必須だ。

しかし発声を整えても音を外したりリズムがぐちゃぐちゃならそれは下手くその何物でもない。

あなたが必要なのは発声を整える事なのか、別の事なのかきちんと把握した上でボイトレに挑んだ方がはるかに効率の良いレッスンを受けることができる。

2.歌の基礎力である音感とリズム感も必要

この音感やリズム感を鍛える練習をクラシックの世界では「ソルフェージュ」と呼ぶ。
具体的にソルフェージュはどんな事をやるのかというと

・視唱
宿題として出される、歌詞のないメロディが書かれた楽譜をアカペラで正しく歌う

・新曲視唱
その場で初めて渡された楽譜をアカペラで正しく歌う

・聴音（単旋律）
初めて聞くメロディを決められた回数聴いて楽譜に正しく書き起こす

・聴音（複旋律）
初めて聞く伴奏つきメロディを決められた回数聴いて楽譜に正しく書き起こす

・弾き歌い
宿題として出される、楽譜通りに伴奏を弾きながらメロディを歌う

・弾き歌い（初見）
その場で初めて渡された楽譜通りに伴奏を弾きながらメロディを歌う

ざっと書き上げたが、これらが音感やリズム感を身に着ける為に音大（音楽科）の人たちが日々訓練している内容である。

そう思ったあなたは正しい。そう、ここまでやる必要があるかどうかはあなた次第。
音楽の才能やセンスがある人はこんな訓練しなくても歌はうまいのだ。
しかし、歌が下手くそな人が上手になるには練習しかなく、この工程を踏めばよほど才能がないという事がなければプロ級になれるのは間違いない。
音大（音楽科）を出た人達も全員が全員才能があるわけではない、それでもプロとして認められるのはそれだけの訓練をしたからだ。

あなたが本気で音感やリズム感を鍛えたいのであれば、そこまで網羅しているボイストレーニング教室へ通うことをオススメする。
意外とここをやってくれない教室は、多い。

3.歌で使うテクニックを学ぶのはボーカルトレーニング

歌に抑揚をつけたい、この歌詞の部分で高音を出せるようになりたいなど、曲の中でやりたい事が出てくることは多い。
これは曲の中でしか再現できない練習になり、それらはボーカルトレーニングに分類される。
ビブラートを使えるようになりたい、ここでシャウト気味に歌えるようになりたい等も歌の中で使うテクニックだ。

テクニックを教えるだけならボイストレーニング（発声法）だけでもできるが、曲の中で使えるかどうかは別。ビブラートだって単体で練習するのは簡単だけど曲の中で使おうと思うから使いにくい。
それはなぜか、テクニックを使いたいフレーズ自体の歌い方が分かっていないとテクニックは使えないからだ。

歌の中でしっかりとテクニックを使えるようになりたいのであれば、ボーカルレッスンまでしてくれる教室を選ぼう。

最後に

以上、ボイトレを受けただけでは上達しにくい理由を3点あげた。
これらは「どこのスクールがいいのか？」というより自身と相性の良い先生を探して、自分の目的をはっきりさせた上でレッスンを受けることをおすすめする。
良い先生でも相性が合わなければ続かない、それでは意味がない。

皆さんがボイストレーニングを受ける際の参考になれば幸いだ。
そして現在ボイストレーニングを受けている人の今後の参考になれば何より。

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