「エッジボイスは出る。
でもこれで合ってるのか分からない」
エッジボイス(ボーカルフライ)の練習していて
こんなふうに感じることはありませんか?
音自体は一応出ている。
お手本を聞けばなんとなく違いも分かる。
でも自分でやってみるとよくわからなくて
「これで合ってる?」
「なんか違う気がするけど…どう直せばいいの?」
となってしまう。
今回レッスンに来てくださった生徒さんにも
まさにそんなお悩みがありました。
前回のレッスンでエッジボイスを教わり
その後ご自身でも練習を続けてくださいました。
前回のレッスンで習っているので
エッジボイスそのものが
まったく出ないわけではありません。
しっかりと練習もしてきてくださいました。
でもご本人としては
「合ってるのか、できてるのか、
いまいちよく分からなくて不安」
という状態。
そこで今回のレッスンでは
単純にエッジボイスを何度も練習するのではなく
「なんか違う?成功してる??
エッジボイスを出すとき
身体と声に何が起きているのか。
成功はどれなのか」
を実際の声を聞きながら確認していきました。
この記事では
そのレッスンの流れをご紹介します。

レッスン前はどんな状態だった?
今回の生徒さんは
前回のレッスンで教わったエッジボイスを
ご自身でも練習してきてくださいました。
でも新しく教わったことだし
一人で練習していると
「合ってるのか、できてるのか、
いまいちよく分からなくて」
という不安のお悩みが出てきたそうです。
レッスンでは早速
実際にエッジボイスを出してもらい
「成功しているのか」
「失敗なら何が原因か」
講師の耳で判断しました。
その上で、次に私が2種類の声を出して
違いを聞き比べてもらいます。
①喉がしまっていないエッジボイス
②喉がしまっているエッジボイス
の聞き分けです。
すると一方の声に対して
「無理やりこじ開けてるっていうか」
と違いを捉えることができました。
そう。
違いは聞けば分かる。
でも自分の声になると
どうすればその状態を
変えられるのかが分からない。
ご本人も
「今聞いたら、やってるのを聞いたら
違いわかるんですけど、
じゃあどうすればいいんだろうってなっちゃって」
とお話ししてくださいました。
実際に発声を確認すると
エッジボイスは出ているものの
喉を締めて力んだ状態になっていました。
つまり今回のお悩みは
「エッジボイスが出ない」ではありません。
音は出る。
違いも聞けば分かる。
でも自分のやっていることは
成功しているのか間違っているのか。
なんか違うような…それがわからない。
そこを見ていく必要がありました。

前回のレッスンと自主練で起きていた変化
エッジボイスは出る。
喉が締まっている・締まっていないの
デモンストレーションを聞いて
その違いも分かる。
でも、
「違うことは分かる。
じゃあ自分の声はどっち?
どう変えればいい?」
というところが躓いている部分。
なので今回のレッスンで
改めてエッジボイスだけを
ひたすら繰り返すことはしません。
その不安が生まれる部分は
その声の出し方の前の部分に原因があるから。
だから一度エッジボイスから離れたところから
エクササイズを開始していきました。

エッジボイスで力んでいた原因は?
ここから声を詳しく確認していくと
いくつかの特徴が見えてきました。
声帯閉鎖が弱かった
発声を確認すると
今回の生徒さんは
声帯閉鎖が少し弱い状態でした。
もともとその癖はあったのですが
エッジボイスに気を取られて
あまり閉鎖練習に気が向いておらず
前回良くなっていたのが
元に戻っている状態でした。
さらに高い音になると声を張ろうとして
息の量も増えやすくなる状態。
高音は低音の土台があって初めて出るもの。
低音から地声の鳴りが減っていたので
高音も揺れやすくなるし、
地声の鳴りの少なさをカバーしようとして
呼気量自体が増えてしまっている。
つまり地声の段階で発声の土台が崩れていた。
だから土台である地声側から
声を作っていくことにしました。
「頑張って出す」が癖になっていた
レッスンを進めていくと
もう一つ大きなポイントが見つかります。
声を出し始めるときに
強く当てるようなアタックが
入りやすかったのです。
さらに低い音でも
息を使って大きな声から入りたくなる。
低い音を出すときにも
「もっと声を出さなきゃ」と
無意識に頑張ってしまう状態。
そしてこの頑張って声を出す動きが
低いエッジボイスを出そうとしたときの
喉の過緊張につながっていました。

レッスンでは何をした?
今回一番気を付けてもらったことは
エッジボイスを無理に完成させようとしないこと。
一度別の発声から声を整えて
そこからエッジボイスが出せるか
戻していきます。
まずは「頑張らずに出せる声」を探す
「頑張って出さなきゃ出ない」
自分が出したことのない声を出そうとすると
身体はどうにか「いまできること」を
組み合わせて似た音を出そうとします。
その結果、無意識に喉を締めたり
舌を圧迫したり、口角を使ったり…
そんな経験ありませんか?私はあります。
いきなり目的の声を出そうとしても
発声の土台が分からなくなっているから
どうしても再現が難しい。
だから基礎の基礎に戻って
頑張らなくても出せる声を思い出すところ
始めました。
声を出してもらいながら
余計な力が入っていないか
息を使いすぎていないか
声がどこへ抜けているのか
一つずつ確認していきます。
実際の声を聞きながら
「この人の場合は
どの方法なら分かりやすいか?」
とエクササイズを探していきます。
今回はいくつか方法を変えながら、
まずは大きな声を出そうと頑張るのではなく
余計な力を使わずに声を出せる状態
を探していきました。
声の「明るさ」を変えてみる
次に行ったのが
声の明るさを変える練習です。
ここで欲しいのは
単純な大きな声ではありません。
音量ではなく、声の質を変える。
これには理由があって
声質の変化は声帯の使い方、
共鳴の変え方の練習になります。
特に声帯閉鎖が弱かったので
明るい声を出すことで
閉鎖を促す目的がありました。
ところが練習を続けていると
別の課題が出てきます。
あえて小さな声を作る
音量を小さくして
明るい声を出してみようとすると
「声を小さくするの、どうやるんだっけ」
という言葉が出てきました。
ここも今回の大きなポイントでした。
大きな声を出すことではなく
小さな音量から声を出すことが難しい。
声帯閉鎖が弱い状態で
大きな声を出すことが当たり前になっている。
エッジボイスがだせるようになるための
発声条件が整っていない声の出し方が
この方の「いつもの声」だから
「いつもの声」以外の出し方がわからない状態。
ボイストレーニングではここを変えていきます。
出せない声を出せるようにするために
自分の中にない声の出し方を覚えていく
知識としてなければ作っていく。
この方はここで一度
囁き声を作るところから確認し
最初から小さな音量で声を出す
練習をしていきました。
無意識の癖で出る「頑張る」をやめる。
ただひたすら小さい声で明るい声。
その状態を身体に感覚で覚えてもらいます。
最初は無意識のうちに頑張り癖が出て
声量が大きくなってしまいます。
でもここで「大きい声はダメ」とはしません。
「小さい声で出していいんだっていう
許可を自分に対して出してあげてほしい」
とお伝えしました。
良い出し方・悪い出し方は確かにあります。
でもこの良し悪しは使い方で逆転する。
だからこそどちらも使える必要があります。
この方に必要なのは
これまで無意識にNGとしてきた声の出し方を
OKとするための許可を自分に出すことでした。
声の出し始めから力まないようにする
レッスンは進んでいきます。
もう一つ確認したのが
声を出す瞬間の力みです。
この方は声を出し始めるときに
無意識に強く声を当てる癖がありました。
本人は普通に声を出しているつもりでも
最初の一瞬から頑張ってしまう。
そこで発音する言葉を変えながら
強く当てずに声を出せる方法
ができる発声エクササイズを入れていきます。
すると、声の出し始めから
余計な力を入れずに出せるようになっていきます。
その感覚を使いながら
息で押し上げない。
喉を緊張させすぎない。
そんな状態でも声は出せることを
一つずつ確認していきました。
一度エッジボイスへ戻ってみる
ここまで発声を作ってから
一度エッジボイスへ戻ります。
低音が鳴るようになって
喉が締まらずに楽に出るようになった。
本人も自覚しています。
だからといってすぐに
エッジボイスが完成!
というわけにはいきません。
普通の声なら土台が整っているのに
エッジボイスの時になると
また元の状態に戻ったのです。
これはよくある現象です。
なぜなら基礎は分かるけど
応用できるほど覚えきれていないし
その発声強度に耐えられる筋力が
追いついていないからです。
その日やったことのおさらいをしながら
発声条件を一緒に辿っていきます。
・息で吹かない
・声量を大きくしない
・最初から出そうとしない
と一つずつ調整していきます。
でも、やってるうちにやっぱり迷子になる。
ここで大切なのは
「先生の正解を真似してください」
と押しつけはしないこと。
喉を締めた状態と締めていない状態の
エッジボイスのデモンストレーションを
聞き比べしてもらい、
自分の音がどちらに該当するかチェックしてもらう。
それぞれの音の出し方を教えていく中で
自分の喉が今どうなっているのか
自分でも分かるようにすること。
が少しずつ本人にも見えてきます。
喉を締めた状態では
「止まってる。締め上げられてる」
開いた状態では
「開いてる」
「空気が喉に落ちていく感じ、ふわっ」
と、生徒さん自身が
喉の違いを言葉にできるように
なっていきました。

「エッジボイスが出た」より大切だったこと
いつもレッスンで私が大切にしていること。
それは
最初、生徒さんは
「違うことは分かる。
でも、どうすればいいか分からない」
という状態でレッスンにいらっしゃいます。
それがレッスンの最後には
疑問が解決して次の道が
見えるようになっていること。
今回でいえば
喉を締めた状態と開いた状態。
その違いを自分の感覚でも
捉えられるようになっていく。
そしてもう一度
エッジボイスと感覚をつなげてみる。
まだまだ成功率は低いですが
この方はエッジボイスの楽な出し方の
道筋が見えました。
「そういうこと、なるほど」
「本当に理解できました」
という声をいただきました。
今回は
「エッジボイスが出なかった→出た」
ではありません。
似たような音は出ていました。
でも本人はいいのか悪いのか
自分はどうなのか違いが分からなかった。
そこから
「どんな状態で出せばいいのか」
が少しずつ自分の感覚と
つながってきたのです。
レッスンの最後には
「本当にすっきりしました」
という言葉もいただきました。
もちろん
これで今後一人でも毎回
同じエッジボイスを出せる!
というわけではありません。
レッスン中にできることと
一人でも何度でも再現できることは違いますし
現状、この方はレッスン中に
正しいエッジボイスまでたどり着けていません。
でも、たどり着くためのロードマップと
自分の現在地がどこなのか分かりました。
今回は
「自分が何を確認して練習すればいいのか」
その方向性が見えてきたのです。

エッジボイスだけ練習しない方がいい場合もある
「エッジボイスがうまくできない」
と感じると
どうしてもエッジボイスそのものを
何度も練習したくなります。
でもできない理由は
「その声が出せないから」ではない。
だから今回の方の場合も
そこだけを練習する方法を取りませんでした。
その声が出る発声条件を作るために
まず土台を整える必要があります。
この方の場合は
まず息漏れの少ない声を作る。
声の出し始めから強く当てない。
喉を過緊張させずに声を出す。
その先に
今回練習しているエッジボイスがあります。
実際、レッスン中にも
「ボーカルフライはこの先にある」
とお伝えしています。
似たような音が出るのではなく
本物のエッジボイスを出せるようにする
それが私が提供しているボイストレーニングの
考え方です。
悩みの名前だけで練習方法を決めるのではなく
実際の声で何が起きているのかを確認する。
私はそこを大切にしています。
「私の声の場合は?」を確認する声分析レッスン
「エッジボイスを練習しているけれど
これで合っているのか分からない」
「お手本との違いは分かるけれど
自分では直し方が分からない」
「高い音になると
頑張って声を出してしまう」
「練習しているけれど
自分の何を直せばいいのか分からない」
そんな場合は
まず現在の声を確認してみると
練習する方向が見つかることがあります。
声分析レッスンでは
実際に声を聞きながら状態を確認し
その人に必要な練習を組み立てていきます。
目指しているのは
レッスン中だけ声を変えることではありません。
最終的には
先生がいなくても
自分の声を自分で扱えること。
今回のように
「違いは分かるけれど
じゃあどうすればいいの?」
というところも
一つずつ声と感覚を照らし合わせながら
確認していきます。
「私の場合は何が起きているんだろう?」
と思ったら
声分析レッスンで一緒に確認していきましょう。
書いた人
新田知代|本気で歌う人のボイストレーナー
高音が出ない、配信で声がもたない。
同じ悩みでも、理由は一人ひとり違います。
理由がわかれば、上手くなる。
だから最初に何が起きているかを分析してから
練習を組み立てていきます。
声の力で人生を切り開く人を、一人でも多く増やす。
その信念を持って、ボイストレーナーをしています。
▶ 初回 声分析レッスン:こちら

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