高音までスムーズにつながる時もある。
でも、同じように歌っているつもりなのに、
途中で声がガクッとひっくり返ってしまう。
「高音がまったく出ないわけではないのに
なぜか安定しない」
そんな悩みを持っている方も
いるのではないでしょうか。
今回ご紹介する生徒さんも
高音が出ない状態からの
スタートではありませんでした。
1年間継続して通って下さっている方だから
もうすでに高音の入り口は掴んでいるんです。
ご本人も1年前を振り返って
「明らかに声のキャパシティが広がっている気がする」
と、嬉しそうに
自分自身の成長を話してくださいます。
でも。
「行ける時と行かない時がある」
「まだコツを掴めていない」
「失敗する時と成功する時で音が違う」
と、高音を出すことにムラがあることに
気づいて教えてくれました。
実際に声をチェックしたところ
フリップといって
地声から裏声に切り替わる途中で
声のひっくり返りが
うまれるようになっていました。
「うまくいく時はこれが起きない。
うまくいかない時に起きる。
どうしたら起こさず高音までいけるんですか?」
今回のレッスンでは
その生徒さんの疑問解消と
声のバランスを取るための時間になりました。
つまり、ミックスボイスを掴む練習です。
「高音が出るかどうか」ではなく、
「成功する時と失敗する時では何が違うのか」
その感覚をレッスンの中で
覚えていっていただきました。

レッスン前はどんな状態だった?

この生徒さんは
普段からしっかり練習を続けてくださっています。
レッスンでも毎日歌いながら自分の声を録音して
気になるところを聞き返して
修正する練習もしてくださっていると
教えてくださいました。
前回までのレッスンを振り返りながら
自分なりに声の使い方も試しています。
その中で
「声帯を閉じようとして
逆に喉へ力を入れすぎていた」
ことにも自分で気づき
最近は過緊張を起こさないように
レッスンで教わった方法で
力を入れないように練習してくださったそうです。
ちゃんと練習をしているけれど
なぜか声のミックスがうまくいく時と
うまくいかない時がある
それはなぜ?
という次の課題が見えてきた状態で
今回のレッスンに来てくださいました。
その話を聞いてから発声を確認したのですが
声の調子そのものは問題ありません。
音程移動しても途中で
変に掠れたり咳が出ることもない。
しかし高音へ上がる途中、
ミックスボイスへ入りかけたところで
声が耐えきれず、ひっくり返る場面がありました。
本人もすぐに起きたことに気がついて
「これです、これなんです。
成功する時と失敗する時で音が違う。
でも喉の形は同じつもりなんです」
と話してくださいました。
ここからが変化のスタートです。
前回のレッスンと自主練で起きていた変化

とても大切なことを一つお伝えします。
それは
以前よりできること自体は確実に増えている
という事実です。
1年前にはそもそも出せなかった高音も
現在は出せるようになっている。
だから「出ない」わけではない。
「繋がらない」だけ。
では何がその出るようになった声を
繋がらないようにしているのか。
この方の場合、自主練をしていく中で
レッスンでは行っていないルールを
一つ増やしてしまっていたんです。
たとえば高い音へ行こうとすると、
「高いから、もっと声を出さなければ」
という意識です。
これはよくあることで、
レッスンでは楽にスムーズに声が出て
家で再現しようとした時に
レッスンで教わった細かい発声条件を整える
アレコレがすっぽり抜けるんです。
またはレッスンの録音・録画を見ながら
練習をするけど、その成功している声と
自分が今出している声が同じかどうか
正確にジャッジする耳が育っていない。
どんな事が起きるかというと
レッスンの時とは違う感覚で出している
違う声を出しているんだけれど
自分的には同じ声に聞こえるし
ちゃんと高音が出てるから
これが正解なんだ
と前回と違う声で歌う練習を続けてしまう
結果、声のバランスが崩れて
今回であれば前回は使えていた
ミックスボイスが使えなくなっている
という状態になります。
レッスン中にフリップしたタイミングで
声を張り上げてしまっていることを伝えると
「本当だ…高くなると声をいっぱい出しちゃう」
という気づきが本人の口からも出ました。
私自身もですが
自分一人で繰り返しているうちに
少しずつ違うやり方が混ざることもあります。
レッスンに通い続けるということは
発声を良くするということだけでなく
バランスよく歌うための声の調律のために
プロの歌手も続けていきます。
そしてバランスの取れた発声で
楽曲を歌う練習をしていくのです。
高音が安定しなかった原因は?

今回の方の場合
レッスン中にいくつかのポイントが
確認できました。
高音へ行く途中で声帯の伸展の影響でくっつき方が変わっていた
本人は「喉の形は同じにしているつもり」と
感じていました。
ところが実際には
高音へ移行する途中で声帯の伸展の影響で
くっつき方が変化し
声がひっくり返る場面がありました。
声は喉にある声帯がくっついて
そこに空気があたって声が出る仕組み。
本来地声と裏声はどちらも
声帯がくっついて出ています。
ざっくりの説明なので細かいところは
ご容赦いただきたいのですが、
地声の筋肉が優勢か
裏声の筋肉が優勢か
で声のバランスが変わって
地声、裏声のように声が聞こえます。
ひっくり返り(フリップ)が起きる時は
様々な原因がありますが
大きな要因としては
声の切り替えの際に声帯がくっついていられず
大きく離れる瞬間があるとひっくり返ります。
この方の場合、
高音に向けて地声を張り上げていくことで
声帯を伸展させて高音に入りたいのに
逆に縮める力をたくさん使って高音に上るから
上限がきて上り切れなくなって
ひっくり返った、という状態でした。
本人もこの説明を聞いて納得。
以前のレッスンで成功していた時と
自己練習でうまくいった時の感覚を思いだして
「たしかに成功する時は
薄く(弱く)しないとできないって
感じていました。
でも、それがなぜなのか分かっていなかったから
成功しない時があったんだ」
と今まで自分が感覚的に行っていたことと
実際に起きていることを結びつけていました。
高くなるほど息で押していた
これはもう一つの要因。
音が高くなるにつれて使う息の量が
増えていました。
本人は最初
「喉に力を入れすぎている気がする」
と感じていました。
しかし実際の声を確認すると
喉に力を入れているのは
吐き出す息の量が増えていて
その息の量で声を出そうとするから
余計な力みが喉に入っていた状態。
喉に力が入るのでさらに息を強く出して
無意識に声量で高音を張り上げたくなります。
そこでレッスンでは
息で押しすぎないように調整していきます。
感覚を掴みやすいEasyなエクササイズから
正解の感覚を覚えていく。
すると本人自身も
「息が入ると音が薄い」
「声帯がピタッとしている時と、
空気がスッと抜ける時がある」
と、成功した時の音の違いと
身体の感覚を拾い始めることが
できるようになりました。
この「自分で違いが分かる」ということが
今後自分で練習していくうえでも大切なんです。
レッスン中、声はどう変わった?

このレッスンは最初に話題に出た
「声がつながらない感じがする」
「成功する時としない時の違いが知りたい」
そこにフォーカスを置いて進めていきました。
その結果、この方は
・ミックスボイスにおける声のバランスを知った
・さらに高音が安定する方法を知った
・声が楽に出るようになった
・成功した時の感覚の捉え方が変わってきた
の変化が生まれました。
それまで高音に向かう途中の喚声点は
自分で高いところへ
無理やり引っ張り上げるようにして
声を持っていこうとしていたそうです。
それがレッスンを通して
「前までは自力で引っ張ってる感じだった」
「勝手に上がってくれる感じ」
「自動みたいな感覚」
「同じ音域でも切り替わった感じがなかった」
という感覚の変化があったそうです。
そしてなにより。
「自分が考えていた声の出し方が繋がってきてる」
というご自身が勉強してきた
点と点が線に繋がってきたように
感じたそうです。
1年通って下さっているからこそ感じた実感ですね。
私も声のお手伝いをさせていただき
その感想をいただいた時、
とても嬉しかったです。
勉強して、ボイトレに通ってくれてありがとう。
同じ「高音が安定しない」でも原因は人によって違う
今回の方は
「高音が出ない」のではなく
出る時もあるけれど、毎回同じようには出せない
という状態でした。
そして実際に声を確認してみると
高音へ上がる時の声帯のバランスや
高くなるほど息で押してしまうことなど
「成功する時」と「失敗する時」の違いが
ご本人にも少しずつ見えてきました。
ただ、同じように
「高音が安定しない」
「地声から裏声へ行く時にひっくり返る」
という悩みがあったとしても
全員に同じことが起きているわけではありません。
そして同じ人だったとしても
毎日体調が微妙に違うように声も変化しています。
だから私は、最初から決まった発声練習を
当てはめるのではなく、
今どんな声が出ているのかを確認する
↓
どこでバランスが崩れているのかを見る
↓
その時に必要なアプローチを選ぶ
↓
実際の歌に戻して確認する
という流れでレッスンを進めています。
毎回同じ流れ・パターンではありません。
なぜなら声のバランスが前回と異なっていたり
前回できていたことが
自主練をしているうちに少しズレることも
あるからです。
逆に、前回できなかったことが
できるようになったからこそ
今まで見えていなかった
次の課題に向かうことができることもあります。
今回の生徒さんも1年前と比べれば
できることは確実に増えています。
だからこそ今は
「高音を出せるようにする」から
「ミックスボイスを安定させる」
という次の段階に進んでいます。
一度できたら完成ではありません。
その時の声を確認しながら
できることを少しずつ増やして
できるようになったことを
少しずつ安定させていく。
その積み重ねが
「1年前より今の方が圧倒的に歌いやすい」
という実感につながっていきます。
「裏声は出るけど地声から高音に行くと
途中でひっくり返ることがある」
「日によって歌声にムラがあって
成功する時と失敗する時がある」
「練習しているけれど
その違いが自分では分からない」
そんな時はさらに練習量を増やす前に
今の声で自分に何が起きているのかを一度確認する
ことが必要かもしれません。
無意識の癖や「こうしないと出ない」
そんな思い込みがあなたの歌声の
ストッパーになっているかもしれない。
ボイストレーニングでは
実際の声を聞きながら、
今の状態に必要な練習を一緒に探していきます。
自分の声を知って、自分でも扱えるようになること。
「できる時もある」を
「自分で再現できる」に変えていく。
それがボイストレーニングで
目指していることです。
新田知代|本気で歌う人のボイストレーナー
高音が出ない、配信で声がもたない。
同じ悩みでも、理由は一人ひとり違います。
理由がわかれば、上手くなる。
だから最初に何が起きているかを分析してから
練習を組み立てていきます。
声の力で人生を切り開く人を、一人でも多く増やす。
その信念を持って、ボイストレーナーをしています。
▶ 初回 声分析レッスン:こちら

知代と優和翔のおだづもっこRadio
放送局:エフエムいずみ(FM79.7)、
リスラジ(インターネットラジオで全国放送)
毎週金曜日 22:00~OA
パーソナリティ:新田知代、優和翔
YouTubeチャンネル:おだづもっこRadio
更新ブログ:Note
ボイストレーナー・新田知代とライバー優和翔が繰り広げる
「音楽×ライブ配信×トーク」のサブカルチャートーク番組。
中でも人気コーナー「ボイトレコーナー」は音楽や
ボイトレにまつわる雑学について学びの多い時間。
ぜひリアルタイムで聞きに来てね!

