なぜボイストレーナーは見ていないのに声の状態がわかるのか

声・話し方

みなさん、こんにちは。
ボイストレーナー・話し方講師の
新田知代です。

今日はよく驚かれることだけど
私たちは当たり前な場面なことを
少しだけシェアしようと思います。

話し方レッスンの中で、
生徒さんに録音していただいた
スピーチ音声を聞いて添削することが
多くあります。

スライドや台本を見ながら
ただ内容を読んでいたのか
それとも自分の言葉として話せていたのか。

スティーブ・ジョブスのような
雰囲気でスピーチしたかったのか
聴衆の顔を見て話している意識があったのか。

緊張の度合いや、その人の性格の傾向まで、
ある程度わかってしまうことがあります。




現場を見ていなくても声を聞くだけで
それが分かるくらい
声に含まれる情報量は多いのですが
ボイストレーナーをしていると
その状況が目に浮かんできます。

そして「こんな感じでした?」と聞くと
「その通りです。どうしてわかるんですか?」
と驚かれることもしばしば。



声の専門家だから分かる、と
その場で評価されることもありますが

実際は自分自身の経験からだったり
これまで多くの人の声や話し方に
触れて分析を重ねることで
分かるようになった部分なので
持ち上げられるとちょっとこそばゆい。




特別な能力があるわけではないので
なんとも言えないのですが、
なぜ声の専門家だからそんなことが分かるのか
その理由をお伝えしていきます。


ちなみにこのテーマは、音声でもお話ししています。
文章より“声”で聞いた方がイメージしやすい方は、こちらからどうぞ。
▶︎ 音声で聞くPodcast
▶︎ 音声で聞くstand.FM


声には思っている以上に情報が含まれている

早速結論なのですが
やはり声に含まれている情報は
皆さんが想像している以上に多いです。




たとえば、緊張すれば声はかすれる。

これは、喉の締まりや仮声帯の緊張が
影響していることが多く
仮声帯が緊張している声が分かれば
状況が思い浮かびます。

仮声帯の緊張は声のかすれや震えを呼び
周りの筋肉が変に緊張するので
喉が開きにくくなることもあります。

喉が開かないから呼吸が浅くなって心拍数が上がり
脳に十分な酸素が回らなくなって
自分が何を話しているのか考える余裕が
なくなる。

話の余裕のなさは
気合いや性格の問題というより
体の緊張から発生していることがほとんど。



つまり、声がかすれている時点で

・心拍数が平常時より高い
・うまく呼吸が整えられていない
・頭で考えた事を咀嚼せず
 話してしまって(本人的に)早口になる

という状況に陥っているのでは?
という想像が声の状態から推察されるのです。


カウンセラーやメンタリストみたい
と評されることもありますが
私は心理的な動きには疎く専門家ではないので
声の状態から全身の状態を見て
判断していることが多いです。

声の状態や不具合が分かる。
だから分かる事がある。
それだけなんです。

(普段はボイトレスイッチを
 オフにしているのでこんな推察しませんよ
 怖がらないでね笑)


声は嘘をつきにくい

ということは
実は声というものは嘘をつきにくい。


私たちは記憶を思い出そうとするとき
視線が無意識にさまよってしまったり。

考え事をする時に
無意識の腕を組んでしまったりするように
声も記憶を探ったり、言葉を選んでいるときに
自然と口の奥にこもりやすくなる
傾向が見られます。

よくテンションが突然下がった時に
声のトーンが1オクターブさがったり
溜息をつくなど
声は顔の表情以上に表現豊かに
相手へ情報をつたえてくれます。



無意識に使えば使うほど
声に本心はでるんですよね。

嬉しい時は声が弾むし
嫌なことがあった声が沈むし。
頑張って隠そうとしても
なんだかんだバレた経験ってありますよね。



意識すれば揺らがない場合もありますが
よほど専門的で特殊な訓練をして
高いコントロール力を身につけていない限り
完全に抑えるのは難しい部分です。

顔の表情はある程度作るに慣れていれば
取り繕うこともできますが
声の些細な揺らぎやそれこそ仮声帯の緊張などは
表情ほど簡単にコントロールできません。



だから声にはぽろっと本音や
迷いが出てしまうことが多い。

とても厄介なものですよね。
だから声は嘘をつきにくいのだと思います。


自分のことは自分が一番わからない

声は嘘をつきにくい、というか
嘘をつこうとしてもつけない
というのが正しいのかもしれません。

何より一番ありがちなことが
「自分の声の状態は本人が一番分かっていない」
ということ。

「自分のことは自分が一番わからない」
と言いますが
声や話し方に関しては
本当にその通りだと感じます。

緊張している、うまく呼吸ができない時
その感覚はその場では分かります。
でも本人はただ声がかすれた
という現象だけを認識しているので


・深呼吸して心拍数を落とそう
・声が掠れているから喉を開いて話そう
・ゆっくり話して話の内容をまとめよう


という意識が働きにくい。




仕方がないことなんですが
思考の癖や身体感覚のセンサーが
どのくらい自分の中にあるのかで
意識が向く・向かないがわかれるように思います。

自分の声や身体の状態を
客観的に見る・感じること

それが緊張していたり
あがってしまっている時に
瞬時に対応することができるかどうかの
分かれ道になる。


逆に自分の体の状態を
客観的に捉えられるようになれば
誰でも対処できるようになる部分です。


実際私も過去にスピーチ登壇などで
何度もピンチに陥り

焦ったり無言になってしまったりで
声から表情がダダ漏れになって

聞いて下さる方に
ご心配をお掛けしたことがありましたが
鍛えられて今では

「話し方に余裕がある」
「どっしり構えている」

とお褒めの言葉をいただく機会も増えました。
私自身が自分の体のことを知ろう、
今こうなっているんだと
客観的に自分を見ることができるようになった

そのお陰で皆様のスピーチを聞いて
状況が分かるようになったのだと思います。


ふわっとした話ではなく今起きていることを見る

だからこそ
「気合いでなんとかする」
「気持ちの持ちよう」
「意識を変えれば」

といった、ふわっとした話やアドバイスって
的を得ているようで得ていないような
そんな気持ちになってしまいます。



ただ、言語化するには
専門知識が必要な内容なので
多くの場合はふわっとしたアドバイスになります。



・いま、声がかすれている
・呼吸が浅い
・口が渇いている
・頭が真っ白になっている



今、自分の体や声に何が起きているのか
にフォーカスを置いて感じること。
その上でその現象や体の動きに対して
使い方や声の出し方を変えていくことで
こうした状態は改善することができます。



話す前ってスポーツ選手が競技前に
心と体の緊張をほぐすために
ルーティンをしたり深呼吸をするのと同じです。

フィジカルはメンタルに直結するので
声と心の緊張をほぐすためにも
ふわっと自分の体を把握するのではなく
具体的に把握する事を私は生徒さんに
おすすめしています。


レッスンでやっていること

実際話し方レッスンで行う
ボイストレーニングでは

・具体的な声の出し方、筋力の使い方
・身体面で起きている不調へのアプローチ
・何がその現象を起こしているのか、原因追及


などを通して
各々の改善策を見つけたり
専用メニューでのトレーニングを行っています。

話し方の癖で語尾の声量が落ちるなら
課題文章を作って最後まで言い切る練習
フィラーがでるのであれば
強制的に無言の間を作ることで抑制
呼吸を取ることで早口抑制

など1人1人に合わせた課題解決を行っています



これらは無理に別人になるのではなく
本来の身体的パフォーマンスが
発揮できる状態に戻していくための
作業でありトレーニングになるので
「全然違う人になってしまうのか」という
不安を抱える必要はありません。


むしろレッスンを受けて成長した後に
多くの方が

・頭の中がすっきりした
・言葉がスルっと出てくるようになった
・声が出るようになった
・自信が出たね、と周りの人に言われた
・人前で話す恐怖が減った

と良い変化を実感して下さっています。


もし今、
話すときにうまくいかない感覚があるなら
それは「向いていない」からではなく

自分の声や体が出しているサインに
まだ気づいていないだけなのかもしれません。



今の自分の声が
どんな状態なのか知りたい方は
レッスンで一度声を聴かせていただけたら
嬉しいです。

声や話し方を無理に変えるのではなく
今の状態を整理し
本来のパフォーマンスを取り戻す
お手伝いをしています。

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