ボイストレーニング実例集|うまくいかない時、どこまで戻って確認する?【2026年10月ボイトレ】

声・話し方

「高音になると喉が締まる」
「スイングのリズムがうまく取れない」
「もっと英語っぽく歌いたい」

レッスンの冒頭でお話を聞くと様々なお悩みを伺います。

声に関することから音階やリズム、
歌詞の抑揚や歌のテクニックだけにとどまらず、
ご本人のマインドの部分まで。


いろんなお悩みを解決するために
私たちボイストレーナーは、
その人に会った練習方法などを
お伝えして解決に導きます。

その中で皆さん驚かれるのが
「決まった特定の練習方法だけを行わない」
ということ。



高音が苦手なら高音を何度も出す。
リズムのスイングが苦手ならスイングを繰り返す。
英語っぽく歌えないなら英語の歌詞を何度も歌う。



そんな練習を想像されている方が多いのですが、
最初からそこだけ練習することはありません。

むしろ実際のレッスンでは
一見関係なさそうなところからスタートして
ゴールとして最初のヒアリング内容に
触れることもあります。


なぜなら積み重ねたいのは「小さなできる技術」だから。


低音ではできているのに
中音~高音になると変わる。

同じま行なのに「み」ならできるのに
「ま」になると変わる。

舌の位置は保てるようになったのに
顎を動かすとまた変わる。



その人が何につまずいて
何ができなくなっているのか。

それを的確に見つけて要因を取り除き
1つずつ正しさを積み重ねていく。


取り除く要因は人によって様々。
だから発声練習ですら
全員が同じことをするとは限りません。

むしろ同じ声質、歌い方の癖だったとしても
別のアプローチをすることも多いです。


この記事では
実際のボイストレーニング事例をまとめました。

高音から低音へ戻ったり、
スイングを一度やめたり、
歌の練習なのに「音程はズレても構いません」と伝えたり。


一見すると「それを練習しなくていいの?」
と思うような方法も出てきます。
でもこの時のレッスンはこの方法を取ったから、
受けて下さった人はできなかったことが
できるようになりました。


その実際のレッスンを少し覗くような感覚で、
ボイストレーナーが何を確認しながら
練習を組み立てているのかをご紹介します。

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【高音発声でバランスが崩れた時は低音から見直す】

低い音から高い音へメロディが駆け上がっていく時。

低音は余裕で出せていた声が、
高音喉が締まったような声に変わっていく。
苦しい、張り上げないと声が出なくなっていく。

こういう時は高音だけにアプローチするのではなく
低音、楽に出るところまで戻って発声を見直します。

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✅ なぜ、楽に出せる高さへ戻るの?

高音発声は低音発声の土台の上に成り立っています。

自覚はないかも知れませんが、
高音でしんどさを感じる時、
低音や高音に入る前の中音からすでに
苦しさの入り口が始まっていることがほとんどです。

つまり高い音が出せるかどうかではなく
低いところでできていた声の出し方が
どこから変わっているのか。


変わる原因は舌なのか、顎なのか。

息の量なのか共鳴の仕方なのか。

喉の開きなのか、喉頭の位置なのか。


人によって原因はさまざま。
でも出しやすいところまで戻っていくと
その原因は少しずつ見えてくるものなんです。

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高いところで崩れたとき
その場所だけを何度も繰り返すとは限りません。

一度できる場所へ戻って、
「できていたときと何が違う?」を比べる。

そこから次に調整するものを探していきます📝

【スイングが苦手なので、一度スイングをやめました】

「優里のドライフラワーのリズムがうまく取れない」
先日のレッスンで出てきたお悩みです。

まずはどんな状態か4ビートを手拍子しながら
アカペラで歌ってもらったのですが
ここにリズムが取れない原因がありました。

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✅ スイングを練習するために、スイングをやめる

今回確認したかったのは
「スイングのリズムができるか」
より、もう一つ手前。

そもそも定められた一定の拍に合わせて
歌えているかどうかです。


歌って、なんとなくノリでリズムに
のっている風に歌えてしまいますが
でもそもそも4ビート、8ビートのリズムにのって
歌えていないとスイングのリズムパターンは
対応することが難しいです。


なぜならリズムパターンが変わる時
テンポの速さが変わるのでなく
アクセントの位置が変わります。


アクセントは4ビートのどの拍なのか、
表なのか裏なのかで変わるのですが
そもそも4ビートがカウントできていないと
アクセントの位置がズラせないからです。

この方も基本の4ビートが歌っている時に
そもそもズレてしまっていたので
基礎練習が必要になるパターンでした。

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複雑なことがうまくいかないとき
その難しいものを何度も繰り返すとは限りません。

一段階シンプルにしてみると
「どこから難しくなっているのか」が見えてきます。

その土台となるリズムまで戻って
確認することはとても大切なんです。

【歌の練習なのに「音程はズレても構いません」】

「カラオケに合わせたリズムが取れているか分からない」
レッスンで出てきたお悩みです。

そこでリズムの基礎を学ぶためにメトロノームを流して
歌詞を見ながら歌ってもらうことにしました。

そのときに伝えたのが
「音程はズレても構いません」
ということ。

歌のレッスンなのにね🤣

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✅ なぜ音程を直さないの?

今回確認したかったのは
音程ではなく「リズム」だったからです。

音程もリズムも同時に正しくしようとすると
何が原因でうまくいかないのか分かりにくくなります。


歌はマルチタスク作業なので
慣れていないと脳が何を直すべきか優先順位に
迷ってしまって結局どちらもできなくなるんです。


そこで一旦、リズムの修正だけに絞る。

音程を無視してメトロノームに合わせて歌ってもらうと
拍より遅れて入ったり
長く伸ばしたりするところがある。

音程を意識しないからこそリズムだけに
集中できるから拍からズレることに気付けます。

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歌を全部まとめて直すのではなく、
一度ずつ取り出して修正していく。

リズムも音程も歌声も表現も全部同じ。
一つ一つの丁寧な積み重ねが上手さの正体なんです✨

【「英語っぽく歌いたい」発音だけの問題ではありませんでした】

「もっと英語っぽく歌いたい」
「英語らしく頑張ったつもりだけどなんか違う・・・」

とレッスンでお話を伺うことがあります。
英語らしく聞こえないのは発音なのか、発声なのか。

どこを見たらよさそうか確認していきます。

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✅ 子音と母音を分けて聞いてみる

実際に歌唱を聞いてみると
子音の発音はざっくりと英語らしく
聞こえていることが多いです。


一方で気になったのが「母音」。


英語で使われる「あ」と「え」の中間音(AE)が
普通の「あ」になっていたり、
母音の鳴り方が日本語的な浅い音になりやすかったんです。

他にも日本語の「お」と「O」の発音の違いなど
音声に違いがあります。

そこで英語の歌詞を繰り返し練習するのではなく
母音だけを取り出してどんな声になっているのかを確認。


そうすると徐々に英語っぽい発音ができるようになっていきます。
母音の次は子音を見直して徐々に英語の発音にしていきます。

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子音なのか。
母音なのか。
それとも声の出し方なのか。

大きな悩みをそのまま練習するのではなく
実際にできているところと
変わっているところを分けながら見ていきます📝

【「え」を出したら、舌の付け根が後ろへ下がっていました】

喉が締まらない発声を覚えるために
AEの音声を練習していた時のこと。

声を聞きながらチェックしていたのは
実は「舌位」でした。

「AE」と声を出してもらうと
舌の付け根が後ろへ下がって
声も奥まったところへ入りやすくなっている
それが喉を締める一つの原因になっていました。

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✅ なぜ舌を見ていたの?

今回確認したかったのは、
「正しい母音を言えているか」だけではありません。

狙った音声を出そうとした時に
口の中で何が起きているのか。
そこまでチェックしています。


「AE」の発音は本来舌が前に出やすい音。
でも私たちは発音の訓練を受けた事がないので
人によっては口の奥へ下がって
似たような音を作ることもあります。


その舌が下がっていることで欲しい声が
出せなくなっていることがあります。
この時もそうでした。

そこで一度
「りんご」の「ん」を言う時の
舌の位置にセット。


その位置から舌が後ろへ下がらないように
声を出してもらうと
今度はその位置を保ったまま
発声できるようになりました。

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「思った声にならない」という時
聞こえている声だけを何度も直すとは限りません。

舌はどこにいる?
声を出した瞬間にどこへ動く?

声を聞きながら
そんな口の中の小さな動きも音として
一緒にチェックしているんです。

【同じ発音でも、声の“入り方”まで見ています】

同じ母音を短く声を出す練習をしていた時のこと。

舌の位置を調整して
響きは少し前に出てきました。

でも、ここでもう一つ見ていたのが
「声が出る最初の一瞬」です。

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✅ 同じ発音でも何が違うの?

レッスンで確認することは発音条件が揃うこと。
この時は母音の音声の出し始めがはっきりしている出し方。
でも生徒さんは声と息が一緒に出る入り方が得意で
むしろ出し始めをはっきりさせることが苦手でした。


苦手なことは繰り返してもなかなか上達しません。
だから同じ母音で練習を繰り返すのではなく
一度、声そのものを使うのをやめました。


まずは声を乗せずに息だけで
狙っている入り方だけを確認。


すると今度は
声が出そうになったり
息の量が多くなったり。

そこでさらに息を減らしながら、
最初の一瞬を細かく変化を見ていって
欲しい声を出せるように調節していきました。

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同じ母音だとしても声の出し方は沢山あります。
歌で音程だけを聞いているわけではありません。

どんな音だった?
その音は、どう始まった?

必要な部分だけを一度取り出すと
声の中で何が起きているのかが
少しずつ見えてくるんです📝

【「み」ならできる。でも「ま」になると変わる】

はっきりとした声を作る練習をしていた時のこと。

「み」で声を出してもらうと
狙っていた声の状態が作れていました。

でも、「ま」に変えると弱い普通の声に戻ってしまう。
そんなことがありました。

そこで今度は
「み」でできている声を基準にして
母音だけにして調節していきました。

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✅ 母音を変えた瞬間、何が変わる?

「み(mi)」のイ母音の時には舌の位置が高い。
ところが「ま(ma)」のア母音になると
舌が下顎に収まってしまい舌の位置を保てていませんでした。

そこで舌の位置を調節しやするエ母音を挟んで
「みめ」「みま」と母音を一つずつ変えながら確認。


すると本人も「み」に近い母音では
強めの状態を作れている一方
口を開ける「ま」になると
舌と一緒に声の響きも後ろへ
引っ込みやすくなっていることに気が付いていきました。

つまり今回は「この声ができない」ではありません。


「み」ならできる。
でも母音が変わると発声条件が変わってしまう。
だから発声条件を変えない為に必要なポジションを覚える。

どこから状態が変わるのかを見る。
その大切さが見えたレッスンでした。

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ゴールは強い声。
でもその間にあるハードルを見つけていく。

ゴールから逆算してその人の課題を見つけて
ルートを作っていく。

こんなふうに境目を探していけるから
次に何を練習するかも細かく決めていけるんです。

【舌は合っている。でも今度は顎が動いていませんでした】

欲しい声を作るために
舌が口の奥へ下がらないよう練習して
その声を手に入れた!と思った矢先。

実際の歌詞に戻して歌って歌っても
せっかく手に入れた声が使えない時があります。
でも確認すると舌の位置は狙った場所にある。

そんな時は別の場所をチェックします。

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✅ 一つ直ったら、別の場所を見る

この時の原因は「顎」でした。
舌が下がることを恐れて、口が開けられないんです。

でも開けてもらわないとさっき手に入れた声は出ない。
そこで下顎を開けてもらうと
今度は舌が後ろへやっぱり下がってしまう。


舌を前に置きたい。
でも顎も動かしたい。

このジレンマよく起こるんです。
1つ直すともう一つが戻ってしまうパターン。

この時は、この2つを一緒にできるかを見るために
手で三角形を作って顎の下に置き、
そこまで顎を落としながら
ゆっくり歌ってもらいました。

そしてゆっくり行うことで同時に二つのことが
可能になって欲しい声を出すことができたんです。

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一つの動きができたからといって、
そこで確認終了とは限らないんですよね。

舌を変えたら、顎はどうなる?
顎を動かしたら、舌はどうなる?

一つずつチェックしながら合わせた時に
どう反応するのかも見る。

そうすると次に
取り組むべき内容がまた見えてくるんです📝

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まとめ|「できない」から「ここを練習すればいい」へ

実際のボイストレーニング事例をご紹介しました。

「高音が出ない」
「リズムが苦手」
「英語っぽく歌えない」
「欲しい声が出せない」

人ってどうしても自分の「できないこと」にフォーカスしがちです。


でも声を細かく分析してチェックしていくと
全部ができていないわけではなく
できていることも多いことが分かります。


ここまでは楽に出せる。
このリズムならできる。
この母音なら欲しい声になる。
一つの動きならできる。


ただ、これとこれを掛け算しようすると
筋力バランスが崩れるんだなぁって分かってくるんですよね。

そこさえ分かれば後は原因を取り除く練習を打つだけ。
そこを覚えてもらうだけであっという間に声はよくなっていく。


高音が苦手→ベルティングで超高音が力強く出せる
リズムが苦手→正確かつグルーヴに乗ってビートを刻める
欲しい声が出ない→欲しい声のレシピが分かるから再現が出来る


こうやって声や音楽を積み重ねていくから
人の心に響く歌が歌えるようになっていく。

ボイストレーニングは表現力を底上げする力です。
想いがあっても声が追い付かなきゃ表現力はついてこない。
音程を正しく歌うその先の音程の表現力まで取りこぼさない。

声に振り回されずに表現に全部して
感動する歌声になっていきましょう!



ボイストレーニングは
できないことをただ繰り返すだけではありません。


自分の声を知って、
必要なことを一つずつ積み重ねていく。


これからも少しずつ実際のレッスンでどんなことを確認し
どんなふうに練習を組み立てているのかを
ご紹介していきますね。

自分の声も一度見てもらいたい方へ

この記事を読んで、

「自分が思っている声の悩みと
 実際の状態は同じなのかな?」

「自分の場合は
 どこから練習したらいいんだろう?」


と思った方には実際に声を聞きながら
現在の状態とこれから取り組むことを
分析してお伝えするレッスンも行っています。

歌声から話し声まで、
初心者の方はもちろん、
歌手・講師・司会などお仕事で
声を使う方にも対応しています。


一人ひとりの目的と現在の声に合わせて
必要な練習を組み立てていきます。


▼ ボイストレーニングの
 詳細・お申し込みはこちら

書いた人

新田知代|本気で歌う人のボイストレーナー

高音が出ない、配信で声がもたない。
同じ悩みでも、理由は一人ひとり違います。

理由がわかれば、上手くなる。
だから最初に、何が起きているかを分けてから、練習を決めます。

声の力で人生を切り開く人を、一人でも多く増やす。
その信念を持って、ボイストレーナーをしています。

▶ 初回 声分析レッスン:こちら

メディア情報

知代と優和翔のおだづもっこRadio

放送局:エフエムいずみ(FM79.7)、
    リスラジ(インターネットラジオで全国放送)
毎週金曜日 22:00~OA
パーソナリティ:新田知代、優和翔

YouTubeチャンネル:おだづもっこRadio
更新ブログ:Note


ボイストレーナー・新田知代とライバー優和翔が繰り広げる
「音楽×ライブ配信×トーク」のサブカルチャートーク番組。

中でも人気コーナー「ボイトレコーナー」は音楽や
ボイトレにまつわる雑学について学びの多い時間。
ぜひリアルタイムで聞きに来てね!

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